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Harmonia

オリジナル小説

ルート9 28 


 帆夏の首に両腕を巻き付け、くちびるを重ねる。薄く開いたその隙間に割り込み、生温かな舌を求めた。飴玉を味わうように舐めたり吸ったりしながら、濡れた粘膜の感触を味わう。
「……んっ、ん……」
 漏れ出る帆夏の吐息が耳に心地良い。そうして長い間溶けるようなキスを味わって、ようやく離れたところで、帆夏が大きく息を吐いた。

「……ああああー、」と悶えるような呻き声を上げたと思ったら、息苦しいほどにきつく抱きしめられる。僕は胸を叩いて抗議したが、帆夏は呻きながらますます腕に力を込めた。
「まず言っておくけど、俺、早漏じゃないから」
 何を言い出すかと思ったら、と、僕は笑ってしまった。しかし帆夏は至って真面目な顔つきだ。
「さっきはたまたま早くいっただけ。前にも言ったけど、セックスもめちゃくちゃ上手い、……はずなんだけど、……なんか俺、伸一さんに対しては完全に自信を失ってる」
「そんなの、やってみないと分からないだろ」
「俺が伸一さんの初めての男だと思ったのに……」
 思いつくままに話すのはどうやら帆夏の癖らしく、そして結局そこが一番気にしている点のようで、帆夏はまた「あー……」と悶え始めてしまう。そんな帆夏をなだめるように、僕は「よしよし」と髪を撫でた。
「『車で一緒に寝た初めての男』で十分だろ」
「さっきみたいなことを、ほかの男にもしてたって考えるだけで気が狂いそう。そう思うだけで、伸一さんの首を絞めてしまいそう」
「僕はまだあと四十年は生きたいから、それは困る」
「だって、……あんなにすぐいかされるなんて……」
 相変わらずかみ合わない会話を続ける帆夏の頬に、あやすように何度もキスをする。
 何て嫉妬深くて、子供じみていて、面倒くさい男。しかしそれすら可愛いくて仕方ないと思えてしまうほど、僕はもう帆夏に夢中なのだった。
 だから、「今度は俺が伸一さんを気持ち良くしていい?」という帆夏の申し出も、最初こそ断ったものの、結局は了承してしまった。

 野外でしたくない理由はひとつで、それは、僕が極端に快感に弱いからだった。声を我慢するなど拷問に近いし、すこし触れられれば、もっともっとと求めてしまう。そういう性質の持ち主だからこそ、自重すべき場所では求めに応じないと決めているのだ。

 帆夏は神妙な顔をして僕の股間に顔を埋め、僕を快感の極みに導くためのあらゆるテクニックを駆使して追い詰めてきた。僕は両手で口を押さえて苦行のように必死で堪えていたが、いよいよというところで、あられもない言葉を口走りながら悲鳴に近い嬌声を上げてしまった。
 仰向けに寝転んだまま、放心状態の僕に、「完全に自信が回復した」と満面の笑みを浮かべる帆夏の顔があまりにも晴れやかだったから、「それならいいか」と思い、さきほどの醜態は忘れることにして、帆夏の頭を両腕で引き寄せる。
「家に帰ったら、いっぱいしような」
 耳許でそう囁いたら、帆夏が応える代わりにじゃれつく犬みたいなキスをしてきた。


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Posted on 2017/09/06 Wed. 00:00 [edit]

category: ルート9

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