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Harmonia

オリジナル小説

ミラクル 4 


 店を出て歩く間も、育都は俺の手を離そうとはしなかった。何度振り払っても繋いでくる。人通りが多いのに、恥ずかしくて、落ち着かない。
「もっとくっつけよ」
 俺が嫌がっているのを分かっているのに、そんなことを耳許で囁いてくる。
「……」
 俺と付き合い初めてからほどなくして、育都はH市内のワンルームマンションでひとり暮らしを始めた。仕事の関係で留守が多い育都から「好きに出入りしていいから」と合い鍵を渡されている部屋だ。
 数え切れないほどの愛の言葉を囁かれ、気を失うまで抱かれた。濃密な交わりを繰り広げたあの部屋のことを思い出すだけで、自然と身体が熱くなってくる。
 握りしめた手がしっとりと汗ばんでいて、育都がもうすっかり発情しているのがてのひらから伝わってくる。きっと今夜も、溶けたチョコレートみたいに形もなにもかもなくなるまで、舐められて喰われて、そのすべてを貪られるのだろう。
 熱くて堪らない。早く抱いて欲しい。
 そんな想いだけが募って、熱に浮かされた身体のまま、ひとことも喋らずマンションへと辿り着いた。

 鍵を開けて玄関に入るなり、背後から抱きしめられた。
「……っ、」
「なに考えてたんだよ。……健のこと?」
 ひどく欲情した声で、そんなことを囁かれる。
「ちがっ、」
「あんな目で見てたくせに。……まだ好きなのか?」 
 乱暴にシャツを剥ぎ取られる。忙しなく動く手が、胸を撫で回した。
「……だから、違うって言ってんだろ!」
 叫んだ俺に構わず、くびすじに吸い付いてくる。嫌々するように首を振ると、指先で両方の乳首を弾かれた。
「……あっ、……やだっ、ダメっ!」
「ほかのヤツなんて見るなよ。……俺だけを見てろ」
「……っ、俺は、育都がっ、」
 その後は声にならなくて、引き攣るような息が漏れる。それなのに、育都は愛撫の手を緩めない。
 散々喘がされて、逃げるように身体を捻りながら、必死で言葉を繋ぐ。
「……」
「育都だけだっ、こんなっ、……育都だって散々、……俺を、無視して、」
 ふっと笑うような、熱い息がくびすじを伝う。
「嫉妬した?」
「したっ、……めちゃくちゃ、するに決まってんだろ。……だからっ、」
 執拗に胸を弄り続ける育都の指先から、快感が身体じゅうを駆けめぐる。ねだるように、自然と腰が揺れ始める。
「育都っ、……欲しっ、」
「なにが欲しい?」
 弾むような声が返ってくる。もどかしくて、焦れったくて、無理矢理身体を翻して離れると、その場に跪いた。
 焦る手でバックルを外してから、ズボンに手を掛ける。前だけ開くと、しっかりとした固さに変化したそれを、取り出した。
「……」
 舌を出して先端の窪みを舐めると、育都の口から「はっ、」と色っぽい息が零れる。
「これが、早く、……入れて欲しい」
 男の匂いを発散するそれに、むしゃぶりついた。
「……っ、」
 玄関のドアにもたれて、育都は俺の愛撫を受け止めている。髪をやさしく撫でながら、感じ入るように目を細めて、俺を見つめている。
 俺も、そんな育都を見つめている。むしゃぶりついたまま、視線だけは逸らさずに、そうやって愛を伝え合う。
 根元まで口に含んで舌を這わせていたら、ビクビクと育都のペニスが震えた。それを可愛いと思って、愛撫する舌にさらに熱を込める。
「もう、……出そうだから」
 髪を掴まれ、制止された。それすら恨みがましく見つめる俺に艶やかに笑って、育都は俺の両脇を抱え上げると、くるりと身体を反転させられる。
「……え、ちょっと!」
 そのまま玄関のドアに押しつけられ、突き出すように腰を引っ張られた。
 

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Posted on 2018/09/13 Thu. 11:56 [edit]

category: MAGIC

thread: BL小説  -  janre: 小説・文学

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